夏至と東洋医学

夏至は二十四節気の中で最初の節気

「礼記」にも夏至の情景が記録されています。
“夏至到,鹿角解,蝉始鳴,半夏生,木槿栄”
『鹿角が解け、セミが鳴りはじめ、半夏が生え、ムクゲが成長する』


東洋医学の自然観では、夏至は陽気の最も盛んな時期ですので、体内の陽気を漏らさず守る時期でもあります。
この夏至の詩に出ている鹿角、セミ、半夏、ムクゲは全て漢方薬として我々日本人の身近にあるものです。
と同時に夏の訪れを知らせてくれる自然の恵み。


礼記の成立した2000年前から変わらず四季は移ろい今に至ると考えると地球は偉大だなぁと思ってしまいませんか?
そして自然の恵みをお薬として利用していた昔の人はやっぱすげぇなぁと感動してしまいます。

鹿の角と漢方薬

鹿の角は現在では鹿茸(ろくじょう)という漢方薬として流通しています。鹿茸は古代には使われていなかった可能性が高い生薬です。収穫時期が夏至ではなく、秋口なので。
礼記に出てくる鹿角解は夏至の時期に山を歩いていると落ちている鹿の角のことです。鹿の角はヤクオクやメルカリで結構な高値で売れるらしいですね。


新鮮な鹿の角を煮込むことで鹿角膠(ろっかくきょう)というゼラチン質の生薬が取れます。
鹿角膠の薬能:温補肝腎,益精養血。薬徴:血虚頭暈,腰膝酸冷,虚労消痩

セミと漢方薬

セミは抜け殻が生薬として使用されます。蝉の抜け殻は蝉退(せんたい)といいます。私はセミの抜け殻が生薬として利用されていると知ってから捨てられなくなってしまいました。
現代の人が悩むノドのイガイガや眼精疲労にも使われることがありますので一度試してみてはいかがでしょうか?
セミの抜け殻もメルカリやヤフオクで売られているらしいのですが、実際に売れていてびっくりしました。


蝉退の薬能:疏散風熱,利嚥開音,透疹,明目退翳,息風止痙。薬徴:風熱感冒,温病初起,嚥痛音唖,麻疹不透,風疹瘙癢,目赤翳障,急慢驚風,破傷風証,小儿夜啼不安

半夏と漢方薬

半夏生はカレンダーにも記載があるので、現代でも知っている方が多いでしょう。半夏生のみ独り歩きして、関西ではタコを食べる習慣がありますが、完全に謎ですね。


半夏は日本ではそれほど加工せずに使用することになっていますが、中国では様々な加工法によって効能を変化させ症状ごとに使い分けています。生薬の加工法を中国では修治法と言い、修治法によって半夏の名称を清半夏、姜半夏、法半夏などと変えて区別しています。
半夏の薬能:燥湿化痰,降逆止嘔,消痞散結。薬徴:痰多咳喘,痰飲眩悸,風痰眩暈,痰厥頭痛,嘔吐反胃,胸脘痞悶,梅核気。

ムクゲと漢方薬

ムクゲは生命力が強く夏に美しい花を咲かせるので庭木として人気があります。


漢方薬としてはあまり使用されていませんが、民間薬として古来より利用されてきました。
ムクゲの木はほとんど全て薬用となりますが、現代では水虫などの外用薬として使用されることが多いようです。
効能見ると万能薬かなと思ってしまいますね。
樹皮の薬能:清熱利湿,殺虫止癢。薬徴:湿熱瀉痢,腸風瀉血,脱肛,痔瘡,赤白帯下,陰道滴虫,皮膚疥癬,陰嚢湿疹
花の薬能:清熱利湿,凉血解毒。薬徴:腸風瀉血,赤白下痢,痔瘡出血,肺熱咳嗽,咳血,白帯,瘡癤癰腫,燙傷
葉の薬能:清熱解毒。薬徴:赤白痢疾,腸風,癰腫瘡毒
根の薬能:清熱解毒,消癰腫。薬徴:腸風,痢疾,肺癰,腸癰,痔瘡腫痛,赤白帯下,疥癬,肺結核

夏至と日本人

夏至にゆかりのある漢方薬は日本人の古来からの文化とも密接に結びついていて面白いですね。
注意:鹿の角は取れると、鹿がすぐに自分で食べてしまうのでほとんど落ちていません。
山で遭難しても当サイトは責任取りませんので気をつけてください。

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