三因制宜(さんいんせいぎ)

総論

東洋医学の原則で治療に際して体質、性別、年齢などの要素と、季節、地理、環境などの要素による影響を考慮して変化を加えなければいけない。三因制宜、つまり人に因り、時に因り、地に因り、適切な方法をもって治療を行うということである。因人因時因地制宜とも呼称される。

概論

東洋医学において、病気の発生と増悪や緩解、転機は様々な要因(気候、地理、環境、体質が頑強かもしくは虚弱か、年齢が若いもしくは高齢)が関わると考えられる。
病気の治療に当たる際には気候、地理、病人の三者の関係性を考慮し、適宜最適な治療方法を選択することで、効果を予測することができる。
三因制宜とは東洋医学の整体観念と辨証論治を体現する概念である。

各論

因人制宜

「人に因り」年齢、性別、体質、生活習慣などの個人差によって治療方法を選択します。

  1. 年齢:年齢によって生理的、病理的な特徴がある。小児の場合、生気は盛んですが、血気はまだ満ちておらず、臓腑は未熟で、病に罹患しやすく、虚実寒熱など病状の変化が早い特徴があります。漢方処方の薬効に対する反応も早いため、小児への薬量は少なくなります。高齢者の場合、生気は減退して、血気は虚しており、病態の多くは虚証あるいは虚実が入り乱れており、漢方処方量も通常より少なくなります。青年や壮年の血気は盛んで、身体は成熟し、臓腑の機能は安定しており、各疾病に対する抵抗力も強いので、病気になったとき、症状は正邪が激しく争うので実証や熱証を呈する、漢方の用法における禁忌は少なく、攻邪薬も多く使用できので、病邪に対抗できやすく、回復も比較的早い特徴があります。
  2. 性別:男女の性別により、それぞれ生理的、病理的な特徴があります。女性は経、帯、胎、産などの情況を治療時に必ず考慮しなければなりません。例えば月経期と妊娠期には、峻下逐水、袪瘀破血、滑利走竄および有毒の薬物の使用は控えなければいけない。
  3. 体質:体質の強弱と寒熱どちらへの偏りを考慮する。陽盛体質や陰虚体質の場合、辛温乾燥熱の方剤は慎むべきである。陽虚体質や陰盛体質の場合は、寒冷傷陽の薬を慎むべきである。体質が強靭な人は、漢方薬の用量を比較的多く、体質が虚弱な人へは、漢方薬の用量も比較的に少なくする。

因時制宜

「時に因り」季節や気候の変化に応じて治療方法を選択します。四季の気候の変化により、好発する病は異なっており、発病時の臨床所見や特徴が異なります。例えば感冒に罹患した場合でも、夏は降雨により湿気が多いため、感冒に湿邪が兼ねます。臨床所見として肢体沈重,嘔悪腹脹、厚苔あるいは膩苔であり、化湿を兼ねた治療を優先すべきである;秋は降雨が少なく乾燥した気候であり、感冒は燥邪を兼ねることが多い。臨床所見として鼻孔の乾燥、空咳で痰が少なく、薄苔少津であり、潤燥を兼ねた治療を優先すべきである。
 四季の気候変化は、人体の生理機能や病理に対して影響を及ぼし、漢方薬の用法も四季気候それぞれに対応しなければなりません。春から夏の気候は温気から熱気に徐々に陽気が昇発し、人体の?理が開泄する。春夏の季節に外感風寒に遭った場合、多量の辛温薬の生薬は処方すべきではありません。『素問・六元正紀大論』には「用寒遠寒,用涼遠涼,用温遠温,用熱遠熱」とあり、因時制宜における治療原則の大切さを説いています。

因地制宜

「地に因り」地理や環境の変化に応じて治療方法を選択しなければなりません。
地域の自然環境の違い、例えば気候、水や土および生活環境による、人体の生理活動や病理の変化への影響を考慮して治療薬の用法を考慮しなければなりません。例えば気候が寒冷で、乾燥し雨が少ない高原地域であれば、外感病の多くは寒邪や燥邪であり、辛散滋潤の薬物を優先して使用することになります。暑さが厳しく降雨が多い、海抜が低い盆地の地域では、外感病の多くは湿邪と熱邪になり、清熱化湿の薬物を優先して使用することになります。寒さが厳しく地域では外感病の多くは風寒邪となり、辛温解表の薬剤である麻黄、桂枝などの生薬の使用頻度が高くなります;亜熱帯気候地域では辛温解表薬の用量が少なくなり、荊芥、防風、生姜、葱白などの生薬の使用頻度が高くなります。
その他の地域でも、地理ごとの風土病に対応して適宜治療法則を見直す必要があります。

参考文献

黄帝内経素問霊枢

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